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俳句の作り方、歴史、俳人を探求。日本俳句研究会

投句の批評

長田亜子さん作2013年06月19日

フワとする 雨の匂いや 余花揺らし

季語・夏

 ふっと雨の降り始めを感じる、土埃が舞い立つ、路地が湿る匂い。どこか懐かしく好きな瞬時。そよっと風が来ることもありますね。

●かぎろいのコメント2013/05/30

 こんにちは。 
 下五は、余花が風に揺れるという意味ですが、その前までの言葉と微妙に合っていない気がします。
 風は匂いを散らしてしまうイメージがあるので、花が揺れるほどの風がある中で、雨の匂いのような微妙な香りを感じることができるのか? という疑問が湧いてしまって、素直に句の世界に入り込めませんでした。
 もし、雨の匂いを感じた後に風が吹いたのでしたら、雨の匂いが散らされてしまって、中七までの意味がなくなってしまう感じがします。

 「余花揺らし」という言葉は、作品に合う言葉を選んだというより、うまく句を締めるために付けられたように思えます。
 そよ風(微風)が吹いたことを表すのであれば、「余花そよぎ」の方が合っているように思えました。

●長田 亜子さんのコメント2013/06/22

 こんばんわ!
 掲載いただきありがとうございます。
 今回は、ぜんぜん伝わらなかったようで。
 雨が降り始める時を、詠んだ句でした。

 雨が降り始める時、空気が動いてほんの少しのさわっと風のように感じたり、雨が乾いた地面に落ちてきて、地面が濡れ切ってしまう前の瞬間に、地面や畑の乾いた土が雨に踊らされて少し舞う時にたつ匂いと、雨粒が落ちてきて、初夏に入ってなお咲き残っている桜を実際に揺らす・・そういった風情の句でした。
 雨が降り始める時のにおいが好きで。それが伝えたかった。

 厳密に言うと雨そのものの匂いではないので、わかりずらい句となってしまいました。
 また、雨の降り始めを読んでみたいと思います。

●長田 亜子さんのコメント2013/06/22

 句の出来とは別に。
 雨の匂いについて調べてみました。
 懐かしさもあるあの匂い。感じている方もあるようでした。
 他所の抜粋です。

 Gary Lockhart " The Weather Companion"を訳した『お天気となかよくなれる本 世界気象博物誌』(グループW訳 丸善株式会社)によれば、アリストテレスの時代には虹のにおいだと考えられていたそうです。現代では、雨の匂いのもとは二種類あると考えられています。
 ペトリコール(ギリシア語で「石のエッセンス」の意)という物質。これは雨が降らない間に植物が土壌に発する油だそうです。雨が降る直前、湿度が高くなると鉄分と反応してにおいがしはじめ、実際に雨が降り始めると油は流されてにおいもなくなってしまうとのこと。まさに雨の匂いの性質にどんぴしゃです。

 抜粋なので、ここまでで。降り始めのほうはこのぺトリコールの匂いのようです。
 本当に、あ雨が降る!と思います。で外を見ると、雨粒が点々し始めてるんです。