俳句は五・七・五の言葉からなる音楽です。
言葉には意味の他に、リズム(拍子)があります。
人間の耳に心地よく響く言葉のリズムが、五・七・五の定型なのです。
五・七・五の原則は、一見すると無意味に決まってる堅苦しい規制のように思えてしまい、俳句を敷居の高いものに感じさせてしまいます。
しかし、これは日本語の性質から自然にこの形になったものであり、ちゃんと意味があるものなのです。
例えば、
古い池に蛙が飛び込んで、水の音がした。
これは単に事実を説明しているのに過ぎない文章です。
これを以下のようにするとどうでしょうか?
古池や蛙飛びこむ水の音
松尾芭蕉
小学校の国語の教科書にも出てくる有名な松尾芭蕉の句です。
意味は同じでも、下の句では、その場の情景が映像を伴って、ありありと浮かんで来ないでしょうか?
また、五・七・五のリズムを刻む句は、口ずさみやすく、耳に残りやすいです。
古い池に蛙が飛び込んで、水の音がした。
では、意味を拾った後にすぐに忘れさられてしまうでしょう。
音楽は記憶に残って口ずさまれるけれども、説明文はその場限りの情報伝達の役割しか果たさないのです。
これが俳句と、ふつうの文章の違いです。
口ずさみやすく、人々の心に余韻を残す名句は、記憶に残り、結果、後生まで語り継がれるのです。
俳句では、「兄弟」、「握手」、「少女」などに含まれる「きょ」「しゅ」「しょ」といった二字(拗音)を一音に数えます。
「ボート」、「クリーム」、「ボール」といった音を伸ばす際に使われる「ー」長音符も一音として扱います。
また、「バット」「タッチ」といった「っ」「ッ」で表記される小さい「つ」、促音も一音となります。
上五(かみご)
五・七・五の最初の五音のこと。
中七(なかしち)
真ん中の七音のこと。
下五(しもご) 座五(ざご)
最後の五音のこと。