俳句は、五七五の十七音であることが基本ですが、五音が六音以上になったり、七音が八音以上になったりして、十七音の定型から外れた「字余り」の句もあります。
赤い椿白い椿と落ちにけり
河東碧梧桐
こちらの句では、最初の五音が「赤い椿(あかいつばき)」と六音になっています。
また、これとは逆に、五音、七音より音の数が少ない「字足らず」の句もあります。
虹が出るああ鼻先に軍艦
秋元不死男
この句では、最後の五音が「軍艦(ぐんかん)」と四音になっています。
さらに、これらとは別に、十七音の原則に囚われない「自由律」の句もあります。
自由律俳句は、音数だけでなく、もう一つの俳句の原則である「季語」にさえ囚われずに作ることができます。
分け入っても分け入っても青い山
種田山頭火
こちらの句は、上五と中七が六音と、定型から外れている上、季語さえもありません。
自由律俳句の代表的な俳人としては、種田山頭火(たねだ さんとうか)が有名です。
このように五七五の定型から外れた「字余り」「字足らず」「自由律」の名句も存在していますが、あくまで原則は五七五であることを念頭に置いておきましょう。
これらの句は「字余りだけれど名句だよね」というように、原則に則った句より一段低い物として扱われることが一般的です。
字余り
音の数が、五七五の原則より多くなっていること。
字足らず
音の数が、五七五の原則より少なくなっていること。
あまり例がありません。
自由律
五七五の原則に囚われずに句を作ること。またはその句。