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俳句の作り方、歴史、俳人を探求。日本俳句研究会

投句の批評

かぎろい作2010年12月

 盲目のラクダの背にアゲハチョウ

 アゲハチョウは春の季語ですが、これは思いっきり、冬に読んだ句です。
 2010年12月に妻と一緒に動物園に行った際に、32歳という、なんと私より年上の超高齢のラクダがいました。
 もう見るからにおじいちゃんという感じで、足腰が弱って、立って歩くこともままならず、巨体を横たえて、口をフガフガ動かしていました。
 しばらく見ていましたが、口をフガフガさせること以外、特にやることもないようです。
 ヨボヨボの顔の中にある瞳は、深いまぶたで閉じられていて開こうとせず「たぶんもう目が見えていないのだろうなぁ」と勝手に思いました。

 盲目の老ラクダかな、いいなぁ、これを句にしたいな、と考えたのですが、いくら考えても、収まりの良い句ができずに、一ヶ月ほど過ぎました。
 その頃、ちょうど読んでいた『俳句、はじめました』という俳句ハウツー本の中に、「現実に見たままを書くのが基本だけれども、想像力を働かせて、そこに有るはずのない物を入れて、句を作っても良い、」といったようなことが書かれていたので、

 格好付けてアゲハチョウを背中の上に載せてしまいました。

 すると、確かに、それなりに格好の整った句になったのですが、あのおじいちゃんラクダの、どこか悟ったようなのんびりした雰囲気が消えてしまったのが、残念です。

●タカさんのコメント

 私は俳句の先生から、
「写生にはじまって、写生に終わる」
 ということで、見たままを詠みなさい、と教わりました。

 でも、例え、嘘でも、人に感動を与えることができれば、俳句としての価値があるので、難しいところです。