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俳句の作り方、歴史、俳人を探求。日本俳句研究会

投句の批評

万年青さん作2014年01月23日

寒の鵙鳴くや自省の寝坊ぐせ

季語・冬

 庭からけたたましい寒禽の声。
 「鵙に違いない!」と窓を開けるとまさに「寒の鵙」でした。いいことありそうな目覚めをありがとう。

●かぎろいのコメント2014/01/28

 万年青さん、こんにちは。
 モズは餌が不足する冬は、昆虫だけでなく小鳥を食べようとしたり、地上におりて落ち葉などをひっくり返して虫を探すようですね。モズは、本来なら秋の季語ですが、「寒の鵙」になると冬の季語となり、枯枝に止まって静かに獲物をねらう、厳しいイメージに変わるようです。

 この句は、そんな厳しい冬を必死で生きようとしている冬のモズの鳴き声を聞いて、寝坊グセを自戒したという意味だと解釈しました。
 ただ、これは鵙の生態にそれなりに通じていないと、意味が拾えないのがネックかと思われます。滑稽俳句の側面も持っていますが、意味が伝わりにくいので、すぐにおもしろがれません。
 本当に良い俳句は、知識がなくても、意味が伝わって、人の心に波紋を広げます。
 例えば、ネット上で見つけた句で、

 荒畑にしばし憂ふる寒の鵙

 という作品がありました。
 こちらは、非常に意味がわかりやすく、寂寥感や冬の厳しさなどが伝わってきます。
 わかりやすさを念頭に置いて作られると、もっと良い句になると思います。

●万年青さんのコメント2014/01/30

 丁寧なご指導ありがとうございます。一般的に冬の鵙のイメージは存在感が薄いようですね。あの時のたてつづけの鋭い声は、きっと鵙の身辺に「一大事」があったのでしょう。特別な事象を取り上げるより、静かに自然と向き合うことですね。<m(__)m>