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俳句の作り方、歴史、俳人を探求。日本俳句研究会

作品掲載

かぎろい作2012年10月08日

 川岸に色散らしたり彼岸花

 運動不足の解消のために、妻と川原の土手をてくてくと歩いていたら、土手に赤い彼岸花がチラホラと咲いていたのに気づいて作った句です。
 普段は、仕事や用事のために、忙しく歩いているので気にもかけませんが、川原には意外と多くの草花や野鳥がやってきていて、賑やかです。川原をよく見たら、カモがぽけ~とした様子で泳いでいたり、サギが魚を捕りに来たりしています。
 サギは一見、白鳥に見えたのですが、よく見るとサギで珍しくもなかったです。サギに遭ったような気分になります。

 彼岸花は、緑の草むらの中に混じっていると、意外なほど目立ちます。
 最初は、「川岸に赤散らしたり彼岸花」という句を思いついたのですが、彼岸花が赤いのは自明の理なので、「色散らしたり」の方が良いと、妻に言われて変えました。

 彼岸花は幽霊花などという異名や、「天上の花」という意味があることから、川と相性が良い気がします。日本には「境界としての川」のイメージが古来からあり、それがあの世とこの世を分け隔てる三途の川の民間信仰を生んだそうです。

●長田 亜子さんの意見2012/10/09

 秋の堤防によく咲いていました。子供のころは少し怖く感じた彼岸花でした。今は季節を表す幽玄な大人のお花だわ・・と思います。
 句にも何か奥行を出してくれます。点描がのような風景が浮かんできました。