梅の香の流れに溶けて琴五面
折り紙の静かに並ぶ夫婦雛
五分咲きの梅林の中、緋毛せんの上で五人もの方々がお琴を弾いていました。お天気にも恵まれ演奏も素晴らしく、しばしうっとりでした。
お雛様の折り紙を教えてもらい飾りました。
流石、お雛様、折り紙とはいえ品があります。
こんにちは。
どちらもとても品がある句であると思います。
「梅の香の流れに溶けて琴五面」は、梅の香りと琴の音楽が溶け合っていて、とても良い感じがします。
ただ、「梅の香の流れ」というように、「の」が連続しているため語感が悪いです。特に中七の頭に「の」が来ているため、ここでつっかえる感じがします。
例え、字足らずになっても、「梅の香流れに溶けて」とした方が、読みやすくなると思います。
「梅の香」で「切れ」を入れる訳ですね。
「折り紙の静かに並ぶ夫婦雛」、確かに品があって良いですね。
ただ、動きがないのが気になります。
「折り紙」、「夫婦雛」は自然の物ではないため、勝手に変化しません。
梅の花は散るから価値があるのですが、折り紙は人間のコントロール下にあるため、人間が移動させたり、捨てたりしない限りなくなりません。このため、句の題材としては、花鳥風月に比べて弱い感じがします。
変化する自然の一場面を切り取って描写するから、俳句は深みが生まれるのだと思います。人工物を相手に描写を試みると、単なる事実の羅列になってしまう危険性があると思います。