鼻筋に 白粉嬉し 秋祭り
一人酒 父を気遣う 夜長かな
季語・秋
秋祭りの日、孫に半纏を着せ鼻筋に白粉を塗ってやると鏡に映る自分を観て喜ぶ姿を観て詠みました。
秋の夜長遠くに一人住む父親を思いながら呑む一人酒は、何とももの寂しく悲しい酒であり飲みすぎてしまいそうな気持ちを抑え読みました。
市村幸雄さん、こんにちは。
「鼻筋に 白粉嬉し 秋祭り」
秋祭りの一場面を上手く切り出して、その楽しさ、喜びを伝えていると思います。祭りには様々な場面や要素があるので、そこから一つを選び出すのは頭で考えていると難しいです。
これはお孫さんをを見て、心を動かされた情感を素直に詠んでいるので、気持ちがこもっており、心に伝わるものがあります。著者独自の視点がある良い句だと思いました。
「一人酒 父を気遣う 夜長かな」
一方こちらは、秋祭りの句が秀逸だったためか、やや月並みな印象を受けました。この句は、一人で酒を飲んでいる父を著者が気遣っているようにも受け取れます。
複数の読み方ができることは良いのですが、どちらの意味で受け取っても、驚きや感動は薄いです。
こちらにも著者ならではの視点、切り口があれば良かったと思います。