天よりの露したたらせ成る林檎
季語・秋
食卓にいま一個の林檎があります。つやつやと美しい輝きを放っています。食べようか、それとももう少し見ていようか迷っています(笑)。
遠野圭さん、こんにちは。
これは熟したリンゴの美しさを写生した句ですね。
一読した感想は一言「とにかく、うまそうな感じがしました」。
雨露がリンゴの曲線を辿って、大地にゆっくりとしたたり落ちる情景が目に浮かびます。水滴を滴らせるリンゴは、なぜかとてもおいしそうに輝いて見えるから不思議ですよね。
秋の質感だけでなく、収穫の喜びも感じさせる句です。こんなに良いリンゴが成ってうれしい、といった情感もうかがえます。
余談ですが、農家では、リンゴは鳥に食べられてしまうので、これを避けるために反射材、防鳥テープといった追い払い道具を木に設置するそうです。そういった光景はあまり風流ではないかも知れませんが、鳥も人間も生きるのに必死なので、仕方ないですね。