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俳句の作り方、歴史、俳人を探求。日本俳句研究会

書評

俳句とめぐりあう幸せ

著者好本 恵
ジャンル俳論書
出版社:リヨン社
発行年月:2005年11月

解説

 俳句が日本にあってよかった。『NHK』の司会者を四年間務めた著者が、俳人との交流や作品を通して、出会いの感激とともに深めた俳句の世界。――暮らしに俳句のある幸せを綴る。俳句が暮らしにあれば、幸せなときも、つらいときも、寂しいときも、つまらないときも、いいことがさくさんあります。俳句が日本にあってよかった。俳句に近づくことができてよかった。ありがたい。そんな気持ちをこめて、俳句のある暮らしの提案です。

特徴

・初心者から中級者向け。
・やや俳句についての知識が求められます。
・著者は俳壇の権威ではなく、フリーアナウンサーです。
・腰の低い文体です。
・たくさんの著名人の意見が聞けます。
・俳句の魅力について語った本ですが、俳句の作り方についても多少触れられています。
・壁にぶつかった時に読むのが最良です。

書評

 一読した印象として、非常に腰の低い文体だと思いました。

 偉そうな感じというのがまったくしない、女性らしい柔らかい言葉で綴られています。
 著者は、テレビ番組「NHK俳壇」の司会を4年間務めた女性フリーアナウンサーの好本恵さんです。
 アナウンサーといえば、言葉のスペシャリストではありますが、俳句は門外漢だったそうで、最初に「NHK俳壇」の司会をしてみないかと打診された時は、自信がなかったと、巻頭にて正直に述べています。 
 好本さんは、日本語の美しさに魅せられており、日本語を古来から耕し続けてきた俳人たちをリスペクトしています。

 このため番組を通して知り合った著名な俳人たちから、俳句の要訣を学びとろうという初心者の姿勢で書かれています。

 特徴として、文化功労者の森澄雄さん、現代俳句協会会長の金子兜太さんらの発言の中で印象に残った物を、当時の状況や背景を述べた上で語る。番組を通して発見した俳句の魅力を紹介するといった内容の本になります。 

「日本人のだれでもつくれるということ、懐かしい気持ちでつくれるから、できたあと温かい気持ちになれる。しかも、だれでもつくれるからといって、一流の作品がないのか、といえばそんなことはない。高い詩性をもった俳句もできている。という両面性があって、国民文芸といえるのであって、俳句以外にはない」
引用・『俳句とめぐりあう幸せ』・金子兜太さんの発言。

 これは非常に説得力のある、俳句の魅力について語った発言だと思います。
 さすがは文化功労者の金子兜太さんというべきでしょうか、俳句を心から愛して、探求していることが伝わってきます。
 著者が、著名人たちの言葉をそのまま掲載しているが故に、彼らの考えがストレートに伝わってきます。
 これは著者が俳句の専門家ではないために生まれた、本書の長所と言えるでしょう。

 一人の著者による「俳句はこうあるべき」「私はこう考える」といった持論の展開ではなく、実力に定評のある俳人たちの様々な意見を聞けるので、多面的に俳句の魅力を知ることができます。
 また、NHK俳壇の裏話的なことも聞けるので、この番組のファンだった人にとってはうれしいでしょう。

 俳句の作り方についても多少触れられており、松尾芭蕉や正岡子規といった偉人や、現代の著名な俳人たちの句が作品例として多数掲載されているので、俳句作りでなにか壁にぶつかった時に最良の本だと思います。

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